ラップフィルムの歴史

食品は通常、調理後数日経過すれば腐り始めます。ですから現代では食品の多くが冷蔵庫に収納されています。特に生ものはすぐに腐ってしまうため、冷蔵庫がなければ保存することが出来ません。しかし冷蔵庫も昔から存在したわけではなく、日本では昭和30年代の普及率は10%を超えていませんでした。当時は氷冷庫なるものが存在しましたが、容量が小さく、包装材が嵩張ってしまえば入れられる食品の量も限られたのです。一方、同時期の米国では冷蔵庫の普及が進んでいましたが、嵩張らない包装材が無かった点は日本と同様で、その開発が急がれました。開発の主役となったのは、軍用品の錆を防ぐための包装材のメーカーでした。戦後は軍需産業が衰退していましたが、当該メーカーは食品の包装材の開発に活路を見出したのです。その結果、チーズの包装材を発明することに成功しましたが、今一つ売れませんでした。しかし転機は急に訪れます。この包装材が薄くて嵩張らないことに目を付けた主婦が、サラダを包むために使用したことが契機となって注目されるようになり、その後、ラップフィルムが普及することになったのです。

 実はこの主婦の名前こそ、「サラ(王女)」と「アン(華麗)」でした。現在の商標である「サランラップ」の語源であることは言うまでもありません。最終的に「サランラップ」と名付けられるまでには長い変遷があり、最初は2人の名前を合わせて「サラン」と呼ばれていました。しかし一時期「クリングラップ」に改称されて2人の名が除外されたのですが、1952年に再びその名が冠されて「サランラップ」とされたのです。

 ラップフィルムはポリ塩化ビニリデンで出来ていますから、酸素も水蒸気も匂いも通さないという特徴があります。しかも耐熱性、耐寒性まで具えているため、食品の包装には最適とされています。発売当時もその機能と共に薄さ、粘着性が注目され、瞬く間に好評を博し、普及しました。現在でも冷蔵庫内での保管に用いられるフィルムの定番となっています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です